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東京地方裁判所 平成5年(ワ)18414号 判決 1994年8月29日

原告

甲野太郎

右訴訟代理人弁護士

保坂志郎

被告

株式会社報知新聞社

右代表者代表取締役

内田恵造

右訴訟代理人弁護士

秋山昭八

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、その発行に係る報知新聞に、別紙1の記事目録記載の謝罪広告を一回掲載せよ。

二  被告は、原告に対し、金二〇〇万円及びこれに対する平成五年一〇月一〇日から支払済みまで年五分の割合による金銭の支払をせよ。

第二  事案の概要

本件は、先に原告から被告の発行に係る新聞紙における報道によってプライバシーを侵害され、名誉を棄損されたとして、謝罪広告請求等の訴えを提起されていた被告が、その第一審において敗訴判決を受けたことを同紙で報道したことにつき、原告から、その記事の一部に原告のプライバシーを侵害し、かつその人格評価を低下させ、原告の名誉を棄損する文章があるとして、謝罪広告を同紙に掲載すること等の請求を受けたものである。

一  当事者間に争いのない事実

1  原告は、東京弁護士会所属の弁護士であり、被告は、スポーツや芸能情報を中心とする記事を掲載する日刊紙報知新聞を発行する会社である。

2  被告は、平成二年一二月二二日発行の報知新聞二一面の紙面右上部の位置に、原告と原告の妻乙川良子こと甲野花子との夫婦関係について、「乙川良子来春離婚」との見出し、「許せない母への暴力」との中見出し、「乙川に聞く」と題する囲み記事中の「お母さんも、暴力を振るわれたそうだが。」との記載及び記事本文中の「既に別居同然となっていたふたりの間で、乙川の母親を巻き込んだトラブルが発生。この時、乙川、母親とも全治1、2週間のケガを負ったといわれる。」との記載を含む記事(以下「別件記事」という。)を掲載し、これが原告のプライバシーを侵害し、名誉を棄損するものであるとして、謝罪広告を同紙へ掲載すること等を求める訴えを提起された(当庁平成四年(ワ)第九二八五号謝罪広告等請求事件、以下「別件事件」という。)。

3  別件事件の第一審においては、被告に原告に対する慰謝料の支払と謝罪広告の掲載を命じる判決の宣告があり(以下「別件判決」という。)、被告は控訴した。

4  被告は、平成五年九月二三日(木曜日)発行の報知新聞一七面において、「乙川さん離婚報道で本誌に賠償命令」との見出しの下に、紙面の四段にわたって、別件事件において、別件判決のあったことを報道した。

5  この記事の主要な内容は、別紙2に記載のとおりであって、その中には、報知新聞側の証人として乙川咲子さんが出廷と前置きし、「甲野さんは良子さんに馬乗りになり、両手や頭を床に何度も打ちつけたという。良子さんが殺されるのではないか、と心配した咲子さんは甲野さんを止めようとした際、肩や手にけがを負ったと証言。」との記載がある(以下この部分を「本件記事」という。)。

6  咲子は、良子の母であって、別件事件において、証人として、5に記載したような内容の証言を行った。

7  別件判決の理由中には、「咲子の証言にはいくつかの疑問点があり、原告の供述と対比するとき、そのまま信用することはできないため、原告が咲子に対し同証言のような暴力を振るい、それによって傷害を負わせたと認めるに足りる証拠はないことになる。」との記載がある。

二  争点及び当事者の主張

1  争点

(一) 本件記事が原告のプライバシーを侵害するものであるか

(二) 本件記事が原告の名誉を棄損するものであるか、それが原告の名誉を棄損するものである場合、被告にその責任を問うことができるか

2  原告の主張

(一) 本件記事が報道する平成四年一〇月原告と良子及び咲子との間に起こった事柄は純然たる家庭内の出来事であって、本人の承諾なく公開されることのないプライバシーに属するものであり、別件事件において咲子が証人として証言した際述べた外に公表されたことがない。また、本件記事が対象とする原告の行為を原告がしたとの報道は、原告の人格評価を低下させるものであって、その内容が真実であるかどうかにかかわらず、原告の名誉を棄損するものである。

(二) 本件記事において、咲子がその内容のような証言を行ったことは事実であるが、その証言した内容は真実ではなく、現に別件判決は、一7に記載のとおり、その証言の信用性を否定している。ところが、本件記事は、「判決は、原告と良子の間で咲子を巻き込んだトラブルがあったことは認めるが、原告が母親に暴力を振るって傷害を負わせたと認めるに足る証拠はないとした。」とまとめ、別件判決が単に咲子に対する暴力を否定したのみで、良子に対して本件記事が報じたような暴力を振るったことは否定していないかのような表現をしている。そのため、本件記事を読む者は、原告が良子に対しては、その内容のような暴力を振るったと誤解させる内容となっている。しかし、別件判決は、具体的かつ明晰な論拠を挙げて、原告の良子に対する暴力の事実も認められないことを判示している。本件記事は、咲子の証言を信用できないとした別件判決の理由の主要部分をことさら除外し、本件記事の内容が真実であるかのように報道したものであって、判決の報道に名を借りて原告の人格評価を低下させるべく敗訴の腹いせをしたに過ぎないものといわざるを得ない。

(三) 原告が暴力を振るったという行為は、法と秩序を維持し、正義を実現するという弁護士の職務と相いれないことであり、なにより暴力行為が社会一般に非難を受けるものであることはいうまでもない。

本件記事は、原告がその妻に対して殺人まがいの暴力を加えたという内容であり、このような記事が公表され、広く真実であると信じられることとなれば、原告が被る社会的評価の低下という損失は、弁護士としての職業的信用の保持のうえからも、個人として被る精神的苦痛のうえからも重大である。

二  被告の主張

(一)  本件記事は、別件判決について控訴したこと及び判決内容と控訴の理由を報じたものに過ぎない。別件記事が、「許せない母への暴力」の見出しの下に記載されているとおり、別件事件は原告の咲子に対する暴力の有無が争点となり、別件判決はこれを否定したので、本件記事はその事実をそのとおり報道したものである。本件記事は、被告が咲子の証言、診断書及び北沢弁護士に対する取材によってこの暴力行為があったことを真実と信じて別件記事を掲載したもので、別件判決の事実認定については納得し難いとして別件記事の正確性について主張し、控訴した経過を記述したものであり、良子に対する暴力を別件判決が否定していないなどと報道しているものではない。以上のとおり本件記事はもっぱら別件裁判のあったことと別件記事の正当性とを記述したものであって、原告に対する社会的評価を低下させる意図をもって記述したものではない。

(二)  本件記事は、別件記事の内容を被告が真実であると信じたことについて被害者である咲子の証言を引用して報道したものであって、その内容は既に別件記事によって公開されており、もはやプライバシーの保護の対象とはならない。なお、いったん公開の裁判を訴求することにより裁判に顕出される事実は、それがプライバシーに属することであっても公然化するから、その訴求をした者はプライバシーの権利を放棄したものというべきである。

(三)  良子は、多くのファンを有する女優であるから、その結婚や離婚の事実が裁判の俎上に上った以上公共の利害に関する事実となる。

本件記事の内容は、裁判の経過を忠実に記述したものであって、真実を報道したものである。

(四)  本訴請求の内容は、原告と良子又は咲子の間に暴力行為があったかなかったかが争われるものである点で、別件事件のそれと同じであって、別件判決がこれをなかったものとして原告の請求を認めた以上、別件記事に何ら付け加えることのない本件記事によって原告が再度慰謝される理由はない。

第三  争点に対する判断

一  本件記事による原告のプライバシー侵害の有無

1  証人が法廷においてある内容の証言をしたという事実は、公開の法廷における事実で、誰でも傍聴することのできる事柄であるから、プライバシーに属するものでないことは明らかであって、その事実を報道することによっては、どのような者のプライバシーであっても、これを侵害することはないということができる。

しかし、証人の証言した内容になんぴとかのプライバシーに属する事実が含まれている場合においては、その事実を含む内容が公開の法廷において証人により述べられたからといって、直ちにそれがプライバシーに属する事実でなくなるものではない。その事件の審理についておよそ関係のないような事項であって誰かのプライバシーに属する事実が、法廷における証言であるからといって、ほしいままに公開されてよいということにはならない。この場合、例え法廷における証言によって、そのような事項が明らかにされたとしてもなお、それを聞くものは、一定の人数の傍聴人、当事者及び裁判所職員に限られるから、その明らかにされた内容が他に伝播される場合は限定され、必ずしも世間一般にその事項が明らかになったこととはならない。自らのプライバシーを秘匿したいと願う者にとっては、それが証言によって一定範囲の者には明らかにされたとしても、できる限りその範囲の者に知られた限度で留めておきたいと願うのは人情であって、そのような希望はなお法的保護に値する。そうすると、新聞等の報道機関によって、このような事項が報道された場合には、それが法廷における証言によって明らかにされたものであっても、なお、なんぴとかのプライバシーを侵害したとされることはあり得るというべきである。

2  しかしながら、別件事件は、原告が母へ暴力を振るったとの報道がされたことによって原告の名誉が棄損されたとし、その被害の回復措置等を求めたものであるから、その事件の審理においては、名誉棄損の成否が判断されるため、又は少なくともこれによって原告が被った損害の程度が明らかにされるため、原告が真実母に暴力を振るったことがあるかどうかが争点とされて、審理の対象となることは避けられないことである。そこにおいては、公開の法廷において原告が母に暴力を振るったかどうかに関し論議され、証拠調べが行われることとなる。そのような場面においては、もはや、原告が母に暴力を振るった事実の有無そのものがなおプライバシーに属するとして、これを秘匿すべきことを求めることのできないことは明らかである。原告は、そのような事項について、名誉棄損による損害賠償の訴えを提起したものであり、自身弁護士でもあるから、そのような事態となることは優に予見することができたはずである。このような事項について権利の救済を図るため、訴えを提起したことによって、プライバシーの秘匿についての保護を受け得なくなるというのには、背理である面もあるが、現行法は、裁判が、秘密裡にではなく、人々が監視することのできる公開の法廷において行われることが重要であるとし、そのためには、プライバシーの権利等が犠牲になることがあるとしてもやむを得ないものとしているものと解される。もちろん、立法政策として、そのような権利の保護を図る手続きを訴訟上採用することも考えられるが、我が国民訴法は、二八〇条において証人及びこれと一定の関係のある者についての「恥辱」に帰すべき事項に関する証言の拒絶権を定めるほかは、一般的にそのような制度を導入していないことはいうまでもない。

3 以上のとおり、原告は、別件事件において、母に暴力を振るったとの事実を報道したことが名誉棄損にあたるとの請求を行ったことによって、もはや母に暴力を振るったか振るわなかったかという事項についてプライバシーの秘匿の保護を求めることはできなくなったものというべきであり、この点に関する原告の請求は理由がないこととなる。

二  本件記事による原告の名誉棄損の有無とこれに対する被告の責任

1  本件記事は、原告が、良子や咲子に暴力を振るったことを報道したものではなく、咲子が別件事件において、証人として、原告が良子母子の住むマンションに押し掛け、乙川が警察を呼ぶ騒ぎになったてんまつを証言したとし、「咲子さんによれば」として、原告の良子に対する暴行と、その際これを止めようとした咲子がけがを負ったことを証言したこと、別件判決は、これに対し、原告と良子の間で咲子を巻き込んだトラブルがあったことは認めるが、原告が母親に暴力を振るって傷害を負わせたと認めるに足る証拠はないと判断したことを報じたものである。

2  ある事実について証言があったことが報道されたからといって、その報道の対象は事実に関する証言であって、事実そのものではないから、その報道がその事実の存在したことを報道したことになるものではない。証言が直ちに信用できるものではないことは当裁判所に顕著であるが、世間一般には、証人が宣誓のうえ、法廷で行う陳述であり、偽証罪の制裁もあるから、証言は真実である場合が多いと認識されているものであろう。このような証言に対する世間一般の認識を前提とすると、証人の証言内容に他人の名誉を棄損する事項が含まれる場合には、新聞等が、証人がその証言をしたことは客観的な事実であるとし、これをその内容のまま報道したとしても、なおその報道が他人の名誉を棄損することになることはあり得よう。したがって、報道機関としては、ある証言を報道する場合に、これが他人の名誉を棄損するおそれがあると考えられる場合には、それが直ちに真実と認められるものではないことなどの一定の留保を付することが必要となることもあると考えられる。

3  本件記事は、その見出しからも明らかであるように、咲子が別件事件において証言したこと及びその証言内容を報ずることを主たる目的としたものではなく、本件被告を被告とした別件事件において被告敗訴の判決があったことを報じ、あわせて当該訴訟において被告となっている本件被告としては、これに不服であって控訴する方針であるとのコメントを掲載することが眼目の記事であったと認められる。その主目的からすれば、咲子が別件事件の証人尋問においてどのような証言をしたかをことさら採り上げて報道する必要がどれ程あったのかには、疑問を差し挟む余地もあろう。しかし、ある事件に関する報道について、それを組成する細かな事実のどれを報道し、どれを省くかは、まさに報道する者の広い裁量に属するものであって、当時本件記事を担当した者が咲子の証言内容について報道する必要があると判断したことについては、その証言内容が、別件事件の主要な争点となったものに係わり、別件事件の判断の内容と密接に関連するものである以上、これに対して裁量権の濫用であるとか逸脱であるとかの非難を加えることはできないといわざるを得ない。しかし、いずれにしても、本件記事は、単に証人の証言を報道したものではなく、その証言をも含む訴訟手続の結果、判決が言い渡されたこと、その判決の主要な内容がどのようなものであったかを報道したものであるから、単に証人の証言内容が報道されたことによる名誉棄損が問題とされるべきものではなく、判決内容の報道と対比された証言内容の報道が問題とされるべきものであることは踏まえておかなければならない。

4  本件記事は、咲子がけがを負ったという同女の証言については、別件判決がこれを認めるに足りる証拠はないと判断したことを報じている。したがって、この記事を読む者は、少なくとも咲子の証言のその部分については、判決において真実と認められなかったことを読み取ることになるから、この記事によって、原告が咲子に対して、同女にけがを負わせるような暴行をしたことがあると認識することはないというべきである。

5  次に、本件記事は、原告の良子に対する暴行の事実については、咲子の証言として、原告が良子に馬乗りになり、両手を頭や床に何度も打ちつけたこと、咲子は、良子が殺されるのではないかと心配したことを述べたことを報道し、これに対する別件判決の判断としては、原告と良子との間に咲子を巻き込んだトラブルのあったことは認めるとしつつ、原告の咲子に対する暴行や傷害の事実を認めるに足りる証拠はないとしたことを報じたのみで、咲子の良子に対する暴行に関する証言については、これが否定された趣旨の報道はしていない。したがって、この記事を読む者は、原告の良子に対する暴行についての咲子の証言内容と、その証言が別件判決において信用されたかどうかは必ずしも明らかではないこと、別件判決は、咲子の証言どおりの暴行があったかどうかはともかく、原告と良子の間にトラブルがあったことを認めてはいることを読み取ることになる。そうすると、読者は、原告の良子に対する暴行の事実については、咲子の傷害の事実と異なって判決で否定されたとの明かな報道がない以上、原告があるいは良子に暴行をしたことがあったかも知れないとの感想を持つことがないとはいえない。原告にとって、一般の読者にそのような感想を持たれる可能性のある記事を掲載されることは、確定的に原告が良子に暴行をしたとの記事が掲載される場合より程度は低いものの、やはりなにがしかの名誉の棄損をもたらすものといえよう。

6  一方、甲第二号証によれば、別件判決は、原告の良子に対する暴行の有無については、明確な判断を示さず、むしろ判断を留保しているものと解される判示をしており、本件記事は、その点については、別件判決の内容を誤り伝えるものではないことが認られる。要するに、本件記事は、咲子の証言の内容についても、別件判決の内容についても、取捨選択を加えてはいるが、それによってその趣旨とするところが誤って受け取られるような報道はしていないと認められる。

7  家庭内において夫がその妻や妻の母に対して暴行を加えたかどうかという事実は、例えその妻が高名な女優であったとしても、これが公共の利害に関する事実に係るといえるかどうかにはいささかの疑問をなしとしないであろう。しかし、前にその事実の報道がされ、その報道が名誉棄損に当たるかどうかが争われた訴訟においては、そこでどのような証言がされたか、その証言がどのように判決において取り扱われたかは、もはや一家庭の私事を超えた公共の利害に関する事実となっているというべきである。本件記事は、別件訴訟において被告となり敗訴した新聞社の発行する新聞においてされた当該訴訟の結果に関する報道であるが、4に示したようにその内容は真実であって、咲子の証言内容に関する記事についてはいささか力が入り過ぎではないかとの批評を招くことはあるとしても、一応の客観性を保っており、その報道目的はもっぱら公益を図るに出たものと認められるから、前記のとおり、例えこの記事によって原告の名誉がいささかなりと棄損されることがあったとしても、それはやむを得ないものと認める他はないといわざるを得ないのである。

8  以上によれば、本件記事は、原告の名誉を棄損するところがあると認められるが、被告は、これについて免責されるものというべきである。

第四  結論

以上によれば、原告の請求は、理由がないことになるから、これを棄却することとする。

(裁判官中込秀樹)

別紙1<省略>

別紙2

「乙川さん離婚報道で本紙に賠償命令」

女優の乙川良子さん(四三)の夫で弁護士の甲野太郎さん(四五)が名誉を傷つけられたとして報知新聞に一〇〇〇万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟で、東京地裁は二二日「記事は原告の名誉を傷つけた」として被告に対し、一〇〇万円の賠償と謝罪広告を出すよう命じる判決を言い渡した。この判決を不服とする報知新聞社は、ただちに控訴する手続きに入った。

問題となった記事は一九九〇年一二月二二日付。「乙川良子来春離婚」という見出しで、離婚を前提とした協議を続けた良子さんは、同年一〇月、甲野さんが母親咲子さんに暴力を振るったことなどで離婚を決意したという内容。

裁判では、報知新聞社側の証人として、咲子さんが出廷、九〇年一〇月二九日夜、当時別居していた甲野さんが乙川さん親子の住むマンションに押し掛け、乙川さんが警察を呼ぶ騒ぎになったてんまつを証言した。咲子さんによれば同夜、甲野さんは良子さんに馬乗りになり、両手や頭を床に何度も打ちつけたという。良子さんが殺されるのではないか、と心配した咲子さんは甲野さんを止めようとした際、肩や手にけがを負ったとの証言。

判決は「芸能人であるからといって無限定に私生活を報道の対象とすることは許されず、家庭のプライバシーをも公表する結果となるときは、家族らが公表を認めているか慎重に判断するべき。離婚問題や、家族間のトラブル公開は、プライバシーの侵害に当たる。原告と良子(さん)の間で咲子(さん)を巻き込んだトラブルがあったことは認めるが、原告が母親に暴力を振るって傷害を負わせたと認めるに足る証拠はない」とした。

直ちに控訴したい

報知新聞社・佐藤周人事労務部長「芸能人の離婚報道について、プライバシー侵害を認める判決は遺憾だ。乙川良子さんの母親、咲子さんが本紙側の証人として出廷、宣誓のうえ、原告の暴力について証言したにもかかわらず、認定されなかったことも残念である。総じて判決はすべて限定的に解釈したため、真実をつかんでいないうらみがある。直ちに控訴したい」

(以下略)

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